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全思考――なにが問題で、なにを解決すべきなのか――

全思考
著者:北野武
出版:幻冬舎文庫



 落ち着いてきたので、そろそろ毎日更新が復活するかもしれない。しないかもしれない。まあ、更新の頻度が多少変わったからといって内容の質は変わらないんですがね!

 というわけで北野武の著書、全思考。様々な社会に対して北野武が思ったことを酒の席で語るようなスタンスの本です。
 数学が好きだ、幼少の頃は貧乏だった、というようなことは知っていましたが、私がとくに北野武について知っていることはそれほどありません。私が知っていることと言えば、北野武は芸人で、映画監督でもあるということ。そして、北野武は自分に正直に生きている人だろう、というイメージぐらいです。イメージの出所はわかりません。例によって例のごとくただの勘だと思います。
 で、その北野武の雑談(といっても差し支えないと思います)が、五つのテーマに取り分けられています。

 第一章:生死の問題
 第二章:教育の問題
 第三章:関係の問題
 第四章:作法の問題
 第五章:映画の問題

 どれもガチガチの評論というわけではなく、それこそ、居酒屋にひとりで酒を飲んでいるときに隣でうだうだとくだを巻いているおっさんがいて、「うっとうしいな」と思いつつ適当に食物をつまみながらぼんやりしていると、おっさんの言葉がふいに雑音としてではなく意味のある会話の一片として耳に入ってくる。「ああ、面白いこと言ってるなこのおっさん」と思ってしまうような感覚を味わえる話です。つい横から口を出したくなります。「俺もそう思ってたんだよ」、もしくは「いやそれは違うだろ」と。
 この本だけを見て北野武がこういう人間だ、と思うつもりはありませんが、この本には過剰な装飾というものはありません。

 そんな中で、私がとくに気に入ったのは作法の問題。初っ端からやってくれます。サブタイトルが『シルバーシートが必要なおかしな時代』。

 まったくだ、と思いましたね。ただ、私の意見はちょっと違います。
 私は、シルバーシートなんて必要ないと思っています。単純な話なんですよ。シルバーシートなんてものができたから身体障害者や老人、妊婦に席を譲らない人が増えたんですよ。
 「どうして席を譲らないのか」「シルバーシートがあるでしょ」でおしまい。終わってしまう。これって、すごいバカバカしいことです。シルバーシートなんてものを誰が作ったのか、誰が必要だと言い出したのか知りませんが、わざわざ席を譲らないことを正当化する為の理由を用意してしまったんですから。
 「どうして席を譲らないのか」と言われて、「立っていると疲れるから」と自分本位な理由を打ち出せるほうがまだマシです。疲れるから、という理由で席を譲らない人は、今は譲らなくても今後人に席を譲る可能性がありますから。しかし、シルバーシートはその可能性を奪ってしまっている。
 いつだか、身体障害者や老人、妊婦に席を譲らない若者が増えている、などとのたまっているのを耳にしましたが、馬鹿を言えと。席を譲らないでもいいようにしてしまっているんですよ。で、「誰も席を譲ってくれない」という訴えを聞いて、シルバーシートを増やして、さらに席を譲らないでいい理由を確固たるものとしている。そりゃ空を飛びたくもなりますよ。I can flyですよ。

 話が全快で水平線の向こうに飛び立ちましたが、まあ、とにかく作法ですね。
 北野武は作法は文字の上で学ぶものじゃなく、自然と身につけたくてそうなってしまうものだ、と語っています。そういう意味で、この章は北野武がどれだけ周りの人、そして目上の存在に恵まれたかがよくわかります。もちろん、そういった人達からの言葉を受け止めてからがもっとも重要です。それを消化し、実行できるようにならないといけませんからね。


 あと、この本で興味深かったのはオタクについて言及していたことですね。まあ、少しだけですががね。正直、北野武がオタクという言葉を知っていることに驚きました。いや、これまたなんとなくなんですけど。
 北野武はオタクを「競争を嫌いながらも、一番になって周囲を見下したいが為にマイナーな世界へ逃げ込んだ人間」と語っています。そして「人間の知恵と想像力が発揮された競争があり、それを生き抜いているならそもそもオタク文化ではない」とも。
 北野武にとってオタクというのがどういうものを指すのかはわかりませんが、あえてマイナーな世界に入り一番を目指す、というのはオタクという性質をある意味で的確に捉えているのかもしれません。ただ、『一番になりたいが為にマイナーな世界を選んだ』のか『マイナーな世界ではあるが一番を目指したくなった』のかは話が大きく変わってきます。そして、このことは本人にしかわからない。
 まあ、どちらにしろ二次美少女オタクの私には関係ありませんが。いや、二次美少女の世界で、どういう路線で一番を目指せばいいのかそもそもわかりませんし。知識量でしょうか。単純にタイトルの名前やらキャラクターの名前などなど。観鈴への愛はもとより、数多くあるロリキャラへの愛なら負ける気はしないんですけどね。
 それはさておき、北野武はそういう優越感を得る為に一番を目指すオタクを生み出したのは「ナンバーワンよりオンリーワンを目指しなさい、という理屈だ」と言っています。このことに目をつけて、オタクは独りよがりの優越感を持ちたいだけの人間だ、と語る北野武は間違いなく正しい。
 “オンリーワン”という言葉に惑わされるのは、“ナンバーワン”になり損ねた人だけです。そして、これを踏まえた上で、あえて私はこう言いたい。

 どうして一番を目指さないんだ? と。

 北野武は否定的ですが、私は競争相手が少ないマイナーな世界だろうとなんだろうと関係ないとしか言えません。そして、これは決して間違いではないでしょう。そもそも、一番になってから、それでも納得がいかなければ次の世界に踏み込めばいい。メジャーな世界だって、最初からメジャーだったわけじゃない。オリンピックの種目だって変遷しています。
 メジャーであるかどうかは関係なく、その道で一番を目指したい、とそう思うことが新しい原動力になります。どこかで一番になったから終わり、というわけじゃないんですから。



 長ったらしくなりましたが、『全思考』。うだうだ考えずにさらっと読める本です。
 北野武が好きな人はもとより、そうでない人も「ちょっと話を聞いてやるか」と思って手に取ってみるといいかもしれません。

 しかし、最近幻冬舎文庫に挟んでる広告に書かれてある幻冬舎よしもと文庫? 芸人が本を書いているらしいですけど、いったいこれはどういう需要があるんでしょう。面白いならいいんですけど、つまらなかったらその芸人の黒歴史になるんじゃなかろうか。
 まあ、私は読みませんから関係ありませんけど。
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