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Prologue

反省はしていないけど、どうしてこんなものを書いたのかよくわからない。

*このエントリは、ブログオーナーのkasasagiが書いてます♪


   /fairy's track/


「――それでは、次に今年度ベストネットマネージャー賞の受賞者である、ブログ妖精のココロさんです!」

 ココロは招かれるままステージに上がった。ステージ中央に立つと強烈な光に視界を覆われる。スポットライトだ、とぼんやりと理解する。その瞬間、それまで厳かな雰囲気に包まれていた会場が沸き立った。

 「おめでとう!」「結婚してくれ!」「ニッフニフー!」「今ならブログペットのウサギもついててお買いどく!」「焼きそば食いてー!」「時代はオム焼きそばだ!」「屋台始めました!」「ラーメンとか蕎麦とか!」「ただしコーナーでもノンストップです!」「詳細は最寄のブログで!」
 思わず首をすくめてしまいそうなほどの祝福の嵐。断片的な言葉の端々に、「ココロ」、「ココロちゃん」という言葉がなければ、逃げだしてしまっていたかもしれない。それほど、まるで現実感に欠けていた。だが、それでも、今このステージにココロという名前のブログ妖精が立っていることはなにかの間違いではないのだ。
 鳴り止まない喝采の中、まぶしさにあてられた目が慣れてくると、だんだんとステージ下が見えてきた。多くの人々がココロを見ている。羨望や感謝の目を一身に受け、ココロは嬉しさや恥ずかしさのあまり、すっかり萎縮してしまった。
 しかし、ココロの胸中など解さず、式は着々と進行する。司会の言葉が次から次に会場を呼び起こしていく。もはや、ステージ上でどんな展開が流れているのかココロにはわからなかった。

「おめでとうございます! 今回ココロさんが受賞されたベストネットマネージャー賞では、ココロさんは歴代最年少の受賞者となりますが、現在の心境はどうでしょう?」

 唐突にステージが静まり返る。向けられたマイクを前にココロは喉を詰まらせた。
 質問の意味は理解できた。なのに、答えになる言葉はなにひとつ浮かんで来ない。

「ぇ、ぇっと……」

 静寂をこれほど冷たく感じたのは初めてだった。嫌な汗が背中を這っていく感覚に襲われた。ココロは、知っている言葉を必死に手繰る。ブログを通じて見てきた多くの言葉が、ココロの成長の糧であり、ココロをここに連れてきたものだった。浮かばないはずがない、答えられないはずがない、とココロは未だ怯える心の内を叱咤する。
 そして、数瞬の後、スポットライトの光を飲み込めそうなぐらいの閃きを得ることができた。今回の受賞に至ったココロが言うべきことは、ひとつしかなかった。
 息を深く吸い込む。胸に描いた言葉を飲み込む。そして、多くの言葉たちから生まれて来た、ココロが関わってきたすべてのブログが詰め込まれている言葉を引き出した。

「メロンソーダばんざーい! ばんざーい!!」

 掲げたはずの腕から鈍い音がした。痛みが走った。続いて、まぶしい光がさらにまぶしくなった。
 腕が痛い、目が痛いと来ては、いくら眠りには自信のあるココロといえども目を覚まさないわけにはいかない。

 上半身を起こす。絶えず洩れ入ってくる陽光を飲み込むように、瞼をゆっくりと開く。

 視界の一面に広がったのはステージではなく、ココロの家だった。
 妖精学校への入学が決まってからココロの住居となった、ココロの為だけの砦。両親の影はない。ココロが一人暮らしを始めてから、数日が過ぎていた。しかし、その一人しかいないはずの住居に、ココロ以外の人の姿があった。
 真っ白な朝を背景に女の子が、ココロのコップでココロが買い置いているメロンソーダを飲んでいた。

「う……うぅ……」

 ココロが恨みを篭めてあげた呻きを、女の子は涼しい顔で受け止める。

「『今日もあなたは綺麗ね。わたしもあなたのようになりたいわ。ジュースならいくらでもあげるから、わたしに綺麗な女の子になるためのレクチャーをしてもらえないかしら』ですって? お断りよ!」
「ジュースじゃなくてメロンソーダ!」
「はいはい。じゃあ、ごちそうさま。おいしかったよ」

 テーブルに頬杖をついたまま女の子はすっかり空になったコップをココロに見せつけ、にんまりと笑った。
 ココロは激怒した。上半身だけを起こした体勢で、両手を何度もベッドに叩きつける。掛け布団が鈍い音を立てながらどんどん凹んでいく。ココロにとって、メロンソーダだけは譲れないものだった。

「返してッ! ココロの命を返してよ!」
「わたしたちは友達でしょう? 命ぐらい共有しようよ」
「今までお世話になりました。今日からスーちゃんとは赤の他人です。はい、メロンソーダ!」

 ココロがスーちゃんと呼んだその女の子は頬杖の支えにしていた腕から顔をすべり落とした。テーブルに突っ伏す寸前のところで持ちこたえる。保てているのは体裁の笑顔だけで、唇の端より先は引きつっていた。

「ま、まさか、ジュースに負ける日が来るとはね……」
「うぅぅ! ううぅぅ! は、はやく、はやくメロンソーダを! ココロの理性がまだ残ってるうちに……!」
「あんたねぇ……」

 女の子はココロに見せ付けてくるように大きなため息をついた。

「だいたい、わたしが来る前に起きておかないからいけないんでしょ。今日が何の日かわかってるよね?」

 女の子のあきれ返った声の言葉を受けて、喉を手で押さえて苦しそうにうーうー唸っていたココロは我にかえった。
 メロンソーダで占められていた頭を冷やしていく。今日が何の日なのか思い起こそうとする。しかし、メロンソーダへの恋慕がココロの胸のうちから離れることはなかった。ココロは涙を呑む心持ちでメロンソーダを頭の端に追いやりつつ、女の子の台詞から拾った言葉をそのまま復唱する。

「今日は何の日、今日は――ハッ!」

 閃きを得て、ココロは慌てて飛び起きた。窓に駆け寄り、外に向かって窓を開け放つ。
 花の海が視界に飛び込んできた。やわらかい陽光が、一面に広がった色とりどりの花を照らしている。ココロは、この景色が気に入ってこの家に住むことを決めたのだった。朝の匂いを思いきり吸い込んでから、女の子へと振り返り、ココロは叫んだ。

「ココロの誕生日だ!」

「 そ ん な こ と は 知 ら ん 」

「ヒ、ヒドいっ。スーちゃんとの初めての交換日記記念日でもあるのに!」
「誕生日とか、とっくに終わってるでしょうが。それにわたしたちの関係も、もう終わったんじゃなかった?」
「ふふんっ。メロンソーダ返してもらわなかったもん。契約の不履行だから、成立してないよ」

 ココロは人差し指を立てて、したり顔で女の子に言って聞かせた。

「契約? なにを唐突に――」

 女の子はそんなココロを訝しげに眺める。しかし、すぐに、得心したように両手のひらを合わせた。

「ああ、教科書ね?」

 ココロは相好を崩す。そうしないではいられなかった。

「今日から、ココロもブログ妖精!」

 クローゼットからブログ妖精学校の制服を取り出して、ココロはくるんと回る。すかさず、女の子が合いの手を入れた。

「まだ無資格だけどね」
「ブ、ブログ妖精見習い!」
「半人前にもなってないけどね」
「み、見習い予定!」
「そもそもブログ科に入れるの?」
「…………」

 肩を落としたココロに構わず、女の子は時計を指差した。

「ところで、ココロはそのまま学校に行く気?」
「……え? あれ?」

 ココロは女の子の指が向く先を追っていき、時計を見つける。ココロが家から離れるときに持ってきた、愛用の目覚まし時計である。緑髪のツインテールの少女をデザインした時計で、特定の時間になると片言で時間をアナウンスしてくれる。また、背中のボタンを押すと、かわらしい歌も歌ってくれるという優れものだ。
 しかし、今はそのボタンを押す余裕など無かった。デジタル表示された時刻を見た瞬間、ココロの背筋がすうっと冷えていった。

「どどどっどどうしよう! どうしようっ!」

 ココロは慌てて用意を始める。パジャマとナイトキャップをベッドに放り投げ、制服に袖を通す。初登校を前にした制服の着用に感動を味わう暇はなかった。休む間もなくばたばたと動き回り、用意を済ませていく。
 そんなココロの慌てっぷりを横目で見ながら、女の子は食事の用意をする。走りながらでも食べられる軽食を作り、ココロに聞かせるような声でぼやいた。

「せっかく迎えに来てあげたのに。絶縁宣言はされるわ、遅刻の巻き添え
を食らいそうだわ、あげくのはてには貧相なものまで見せられるわ。なんてかわいそうなわたし」
「うぅー! うぅー! 謝りたいのに、謝りたくなくさせるような言い方しないでよぉ!」
「無駄口叩いてる暇があったら、はやく出るわよ」

 女の子は作り終えた軽食と二人分の鞄を抱えると、ほとんど用意を終えていたココロの腕を引っつかみ、外へと連れ出す。

「え、え、ま、待って、緊急時用のメロンソーダを金庫から持ってくるから! メロンソーダを! どうかココロにメロンソーダを!」

 美しい森。あざやかな草原。透きとおった空。それらすべての祝福を受けて咲き誇る花たちが、風に揺られてさわさわと笑い声を立てながら、二人を見送っていた。


        つづく

 * * * 

 公式設定がよくわからなかったので、かなりいい加減な設定を独自に用意しました。完結できたら良いですね(他人事)。
 公式のガイドラインを見るかぎり、ヒャッホウな展開を書かない限りは二次創作(Blog pet関連データの作成)は黙認して下さっているようなので、このままブログ内で連載するつもりです。

(4月28日 作中の優れものの時計はミク時計。あと、本文部分の字は適当に大きくしてみました。)
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